リオデジャネイロの知られざる魅力

リオといえば、世界的にも有名なコパカバーナビーチ、サッカー、カーニバルのイメージが強いのではないでしょうか。もちろん、これらが見どころではないわけではありません。私自身もリオのビーチは何度見ても、リオにしかない雰囲気に魅了されますし、リオのカーニバルは大迫力で言わずもがなです。ビーチ沿いでサッカーをしている老若男女を見ると、ステレオタイプはあながち間違っていないのでは、と思うこともあります。ただ、それだけでリオを片付けてしまうのはもったいないといつも思います。今回は私が個人的に好きなエリアや場所をピックアップして、ご紹介します。

そもそもリオはどんなところ?

リオデジャネイロは人口600万人以上を擁するブラジル第2の大都市で、1960年までブラジルの首都でした。ブラジリアに遷都した現在はリオデジャネイロ州の州都ですが、首都時代から続く歴史的な建造物や文化が今もあちこちに息づいています。

「リオ・デ・ジャネイロ」という名はポルトガル語で「1月の川」という意味で、1502年1月にアメリゴ・ベスプッチらがグアナバラ湾を発見したことに由来しています。世界で最も美しい港の一つだと言われているほど、海と山が織りなす景観の美しさは別格で、その風光明媚な景色は「リオデジャネイロ:山と海の間のカリオカの景観群」として2012年にはユネスコ世界遺産に登録されています。リオっ子のことをポルトガル語で「カリオカ」と言いますが、陽気でエネルギッシュなその気質こそが、この街のいちばんの魅力かもしれません。

サンタテレーザ ― 丘の上のボヘミアンタウン

ビーチエリアから少し離れた丘の上にあるサンタテレーザは、アーティストや作家が集まる、ちょっとしたボヘミアンな雰囲気の地区です。19世紀末には上流階級の邸宅が立ち並ぶ高級住宅街でしたが、その後、アーティストやクリエイターに愛される場所へと変わっていきました。今でもアトリエやギャラリーが点在し、歩くだけで壁画やアート作品に出会えます。

サンタテレーザのシンボルのひとつが黄色い路面電車です。セントロから有名なラパ水道橋の上を渡り、サンタテレーザまで運行しており、観光客にも地元の人にも利用されています。レトロな車窓から見下ろす街並みと緑が、なんとも絵になります。坂道の多い路地を気ままに歩きながら、ギャラリーやおしゃれなカフェやバーに立ち寄る――そんなゆったりとした時間がここには流れています。

ペドラ・ド・サル ― カーニバルではないサンバ

サンバはカリオカの生活に欠かせない音楽であり、娯楽です。週末の予定は?と聞くと「サンバへ行く」という答えが返ってくるほど、日常に根付いた文化です。本場の生のサンバを体験したいなら、ぜひ訪れてほしいのがペドラ・ド・サル(Pedra do Sal)です。ペドラ・ド・サルはリオのサンバ発祥地と言われており、「リトル・アフリカ」とも呼ばれる歴史的・文化的遺産として登録されています。

毎週月曜日と金曜日(定番は月曜日)に夕方20時ごろから、伝統的なサンバグループによる生演奏が始まります。飲み物や軽食の屋台が立ち並び、地元の人や世界中からのサンバファンで賑わいます。観光向けのショーとは異なる、地に足のついたリオの音楽文化がここにはあります。定番ソングをみんなで合唱している様子には心を揺さぶられます。

またペドラ・ド・サルと合わせて、ラパ地区のサンババーもぜひセットで。夜の帳が下りるにつれて街が熱を帯びていく様子は、忘れられない経験になるはずです。

ウルカ ― キリスト像のシルエットと黄金の夕暮れ

ポン・デ・アスーカルの麓にひっそりと広がるウルカ地区は、リオの中でも特に穏やかで落ち着いたエリアです。治安の良さでも知られており、麓のビーチでは夜でも釣りやBBQを楽しむ地元の人たちの姿が見られます。

このエリアの隠された魅力が、夕暮れ時の防波堤です。西日が傾く時間帯になると、地元のカリオカたちが防波堤に腰をかけてぼんやりと海を眺めます。その先にはコルコバードの丘とキリスト像のシルエットがオレンジ色の空に浮かび上がる――まさに「チルなリオ」の真骨頂とも言える景色です。夕暮れから夜景へ刻々と変わるリオの表情を、じっくりゆっくり楽しめる場所です。ポン・デ・アスーカルの頂上からの眺めも絶景ですが、麓でリオっ子に混じりながら夕日を眺めるこの時間もまた、格別です。

トレッキングの宝庫 ― 絶景を自分の足で

リオがビーチとカーニバルの街というイメージは、実はトレッキング好きにはもったいない先入観かもしれません。海と山が隣り合うリオには、街からアクセスできるトレッキングコースが数多くあり、ハワイの感覚に少し似ていると思います。

私が個人的に一番おすすめしたいのがモーロ・ドイス・イルマンス(Morro Dois Irmãos)のトレッキングです。イパネマ・レブロンビーチの西側にそびえる双峰の岩山で、標高533mはポン・デ・アスーカルをも上回ります。入り口はヴィジガルというファベーラの中にあるため、トレイルまではバイクタクシーで向かうのが一般的です。ポルトガル語に不安がある方や土地勘のない方は、ガイドさんを手配することをおすすめします。トレッキング自体はずっと坂道ではありますが、1時間ちょっとのコースなので、あっという間に登れてしまいます。山頂から見下ろすイパネマビーチとリオの街並みは「リオで最高の眺め」という人も多い、圧巻の景色です。

もっと難易度の高いコースを望むならペドラ・ダ・ガヴェア(Pedra da Gávea)、気軽に楽しみたい方にはパラグライダーの発着地点でもあるペドラ・ボニータ(Pedra Bonita)もおすすめです。

フルーツジュースとアサイー ― 毎日でも飲みたい

リオを歩いていると、あちこちに小さなジューススタンドが目に入ります。ブラジルはフルーツの宝庫。アセロラ、パッションフルーツ、マンゴーといった日本でも馴染みはあるものの、なかなか食べる機会のないものから、サワーサップ(グラビオーラ)、カジュー(カシュナッツの果実部分)など、日本ではほぼ見かけないトロピカルフルーツをその場で絞ってくれます。日本と比べるとフレッシュジュースの値段もお手頃で、暑いリオの街歩きには欠かせない存在です。

中でもぜひ試してほしいのが本場のアサイーです。日本でもスーパーフードとして知られるようになりましたが、ハワイ発祥のアサイーボウルの印象が強いと思います。実はアマゾン原産のフルーツで、本場のアサイーは別格です。リオではビーチ沿いの屋台から街中のジューススタンドまで、どこでも気軽に食べることができます。サイズや付け合わせも細かく指定することができ、定番のバナナ、グラノーラだけでなく、レイチ・ニーニョと呼ばれる粉ミルク、蜂蜜、練乳、ココナッツやピーナッツなどナッツ類などなど。地元の人はだいたいお気に入りのアサイー店と頼み方があります。ぜひいろんなところでアサイーを試して、自分だけのおすすめを開拓してみてください。カリオカと意見交換するのも楽しいでしょう。

ビーチについて― 雰囲気こそが最大の魅力

結局ビーチの話に戻ってくるのですが、リオのビーチの魅力は「透き通った美しい海!」という点では実はありません。正直に言うと、ビーチの美しさという意味では世界にはもっときれいな海があります。ではなぜリオのビーチが特別かというと、それは「雰囲気」につきます。

浜辺に座っていると、焼きチーズ、とうもろこし、マテ茶、カイピリーニャ……次から次へと様々なものを売りにくる人たちが通りすぎていきます。ビキニやアクセサリーを売る行商人も。その賑やかさ自体が、もうエンターテインメントです。

そして周りを見渡すと、友達や家族とのんびり浜辺で談笑していたり、ひとりで読書をしていたり、ビーチサッカーやビーチバレー、ランニング、犬の散歩、フレスコボール、さらには器具を使ったトレーニングまで――カリオカたちは本当にビーチを毎日の生活の一部として使っています。観光でビーチに来た人と、いつもの日常を過ごしている地元の人たちが自然に混在している、そんな景色が垣間見られるのが、リオのビーチだと思います。晴れた日には青い海を背景に、エネルギッシュな人々に囲まれながらぼーっと過ごす時間は、リオ滞在の中でもきっと忘れられない記憶になるはずです。

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